チック症の子供の症状や原因、治療法について

チック症という病気を知っていますか？

チック症とは、癖(チック)が慢性化したときに診断される病気です。
3歳ころの幼児期から10歳ころの学童期にかけて起こるもので、
一過性のものが多く、成長とともに落ち着くものがほとんどです。

病気を聞くと怖いイメージがありますが、
子供の様子を見て、きちんと対処してあげれば
けして怖いものではありません。

症状としてはある種の癖であり
体が動かしたり、声を発したりします。

ただの癖ではない決定的な違いは、無意識かどうかです。
チックの場合は、無意識に意味もなく行動を起こします。

大きく分けると二種類あります。
まずは運動チックと呼ばれるもので、

具体的には・・・
首をかしげる、回す、ふる
目をぱちぱちしたり、きょろきょろしたりする
肩を揺らしたり、すぼめたりする
突然立ち上がったり、走り出したりする

もう一つは音声チックと呼ばれ、
具体的には・・・
何度も咳払いを繰り返す
あ、う、など意味のない文字を発する
奇声を発する
他人の言葉をしつこく真似する

どれも子どもにはよくありがちな言動です。
ですので、一度このような言動を見かけたからと言って
不安になる必要はありません。

問題は、それが毎日起こったり、何か月も続く場合です。
症状がひどくなっていったり
複合的な癖が出てくるならば、チック症の可能性が高いでしょう。

少し前までは、チック症は精神的なものが要因だと言われてみました。

実は私も子供のころ、チック症だと診断され
国立医大に長く通っていました。
小児科ではなく、診療内科です。

今ほど心の病についての知識が
浸透していなかったので
両親にはとても心配をかけました。

私が病院の先生に毎回質問されていたのは、
「お母さんは怒った？」でした。
多分「母親のしつけが厳しいから、精神が不安定になってチックが起こったのだ」
という診断だったのだと思います。

しかし今現在、チック症は身体的なものが
要因であるという考え方も多く広まっています。

脳の線状体の障害という、神経の病気
としてとらえられる場合もあります。
昔のように、母子関係や子供の性格だけが問題なのではなく、
身体的要因と精神的要因が関係しあって、
引き起こされているというわけです。

冒頭でも書きましたが、チック症は成長とともに治る病気です。
比較的起こりやすい病気で、かつ一時的な病気なのです。
1年以内に落ち着く子がほとんどです。

しかし重篤化して何年にもわたり続く子は
心療内科や脳神経外科に通院するといいでしょう。

治療としては、カウンセリングが主となり
場合によっては投薬もあります。
そして本人だけでなく、家族もチック症の正しい知識を得て
理解していくことが大切です。

チック症で誰かに迷惑をかけたり
私生活に影響を及ぼすことはあまりないですが、
心配なのはそのことで自分に自信を無くしてしまうことなのです。

無意識の行動なので、止めようと思っても止められません。
無理にやめさせようとしたり、怒ったりするのはもっての他です。
気にすれば気にするほど、ストレスとなり悪影響です。

症状がひどい時は声をかけてやったり、
不安になった時は「すぐ治るよ」
と安心させてあげたりするだけで十分です。

チック症は、個性の一つのようなものです。
家族や学校、周りの人たちに理解してもらい、うまく付き合ってあげましょう。